MerlinEM
英国Quantum Detectors Ltd社製MerlinEM Direct Electron Detector (DED)は、透過(走査)電子顕微鏡用に開発されたFPD(fast pixelated detector)といわれるタイプの検出器です。
FPDは、TEM像を直接記録するだけでなく、STEMモードでの明視野像、暗視野像に加えて、各プローブ位置ごとの回折図形を記録する4D STEMやその干渉像を記録するタイコゴラフィー、Scanning PEDなどのアプリケーションに最適です。
FPDは、個々のピクセルが高速かつ独立して動作し、高速なデータ収集が可能です。また、FPDは高精度なデータ収集が可能であり、高い空間分解能を持ちます。これらの特性により、FPDはTEMの高度なアプリケーションにおいて、高速で正確なデータ収集が必要な場合に特に有用です。
4D STEMやScanning PEDなどのアプリケーションには、高速で正確なデータ収集が必要であり、従来の検出器では撮影速度と精度の両立は困難でした。しかし、FPDを使用することで、高速で正確なデータ収集が可能になり、これらのアプリケーションで高精度のデータ収集が可能になりました。
各センサーピクセルは、インテリジェントチップに個別にバンプボンディングされ、しきい値識別器を用いてバックグラウンド信号を識別し、読み出しノイズを効果的に除去します。
このようなセンサーピクセルの設計により、複数の短時間露光画像を取得して合計するインテグラルモードイメージングが可能になります。また、隣接する画素間で通信を行うことで電荷共有の影響を緩和し、電子の直接検出と組み合わせることで性能を向上させています。
これらの技術により、高精細な画像を取得することができます。さらに、このセンサーピクセルの設計により、画像の信頼性が向上し、より正確なデータを取得することができます。
特長:
・直接検出:単一電子イベントをノイズレスに検出可能
・ダイナミックレンジ:最大読み出しカウントは24ビットであり、デッドタイムなしでの読み出しカウントは12ビット
・1から24ビットの読み出し階調と様々な読み出し速度の組み合わせが選択可能
仕様
・センサー:シリコン(500 µm)
・センサータイプ:逆バイアスハイブリッドシリコンダイオードアレイ
・ピクセルサイズ:55 µm x 55 µm
・有効面積:14 mm x 14 mm、または28 mm x 28 mm
・ピクセル:256 x 256(Single)または512 x 512(Quad)
・読み出しノイズ:0(しきい値設定による)
・DQE@60keV(検出量子効率):1(ゼロ周波数)、0.45(Nyquist)
・MTF@60keV:> 0.62(Nyquist)(モードによって異なります)
・最大フレームレート(連続):1825 fps(12ビット)
・ギャップ時間(連続):0 µs
・最大ダイナミックレンジ:24ビット(ピクセルあたり最大16,777,216カウント)
・トリガー:3.3 / 5 V TTLパルスまたはソフトウェアトリガー
・通信:最大10 mのVHDCIケーブル。 TCP / IPプロトコル
・加速電圧範囲:30 keV – 300 keV
・ソフトウェア:LabviewおよびTCP / IPプロトコル
・マウント:ビューポート上、もしくはボトムマウント(格納式)、電子顕微鏡の仕様により取り付け方法は異なります。
Applications
- 4D STEM
- Scanning PED
- Diffraction imaging and SPED
- DCP (Differential phase contrast) imaging
- Low Dose Imaging
- Electron Energy Loss Spectroscopy
- Ptychography
- TEM imaging
Application Notes
- 4D-STEM による透過型電子顕微鏡内での電磁場の測定
- 走査型透過電子顕微鏡を用いたタイコグラフィー
- 4D-STEM とバーチャル STEM の検出
- テクニカルデータシート
- MerlinEELS – direct counting detector for electron energy loss spectroscopy
- 4D-SPED Application Note
- 3次元電子回折
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