MerlinEELS
EELSイメージングのためのダイレクト電子計数型検出器。 MerlinEELSは、S/N比を最大化する電子計数系と、検出ノイズに依存しない高フレームレートを実現することで試料ダメージやドリフトの影響を最小限にし、EELSのデータクオリティーを大幅に向上させます。
MerlinEELSの概要 EELSに直接電子計数型検出器を使用することには大きな利点があります。英国Quantum Detectors Ltd社製MerlinEELS検出器は、1ピクセル内で最大16Mカウントの高ダイナミックレンジが実現できます。さらに、この検出器はエネルギー分散方向と垂直方向に256のピクセルを持っているため、均一にスペクトルを広げれば1チャンネルあたり10億カウントをはるかに超えるカウントを収集することができます。また、この検出器は読み出しノイズがなく、デッドタイムもゼロなので、最大12ビットのイメージングが可能です。この2つの特性がEELSにもたらすメリットについて、以下に詳しく紹介します。
Specifications 1024 x 256 sized hybrid pixel detector consisting of 4 Medipix3 chips 3600 fps at 6-bit Much higher fps possible with ROI Ability to generate random arbitrary scans
まず、 検出器が高いダイナミックレンジをもつことから、非常に強度の強いゼロロスピークと強度の弱い(数万分の1以下)コアロス信号を1回のスペクトルで収集することができます。この例では、LaMnO3およびSrTiO3界面に対して行われたものです。3次元スペクトル情報からは、標準的なバックグラウンドフィルターによるEELSコアロス画像、暗視野像、ゼロロス(ZLP)像を抽出できます。
読み出しノイズがないことを示す非常に興味深い2つ目の例は、高エネルギーコアロス像です。MerlinEELS検出器は、LaMnO3とSrTiO3の間の界面から5kV付近のエネルギー損失スペクトルを収集することができました。これにより、原子レベルのEELSデータを作成することができ、チタン酸ストロンチウムの内部にあるごく微量のランタン原子を認識することもできました。この画像は、これらの高エネルギー損失領域に存在する信号のレベルも示しています。1画素からの信号(赤のグラフ、10 msの滞在時)では、電子カウントが0~12となり、ランタンL3エッジの存在を特定することができません。しかし、3×3の画素を合計すると(青のグラフ)、ランタンL3エッジが見えるようになり、ユニットセル平均では明瞭にようになります(オレンジのグラフ)。比較のため、全サンプルのデータを合計したところ、チタンKエッジ信号も確認できました(緑色のグラフ)。
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